労働組合による個人情報管理

(神奈川総合法律事務所だより2023年1月発行第66号に掲載した記事です。)

 最近、顧問契約を結んでいる複数の労働組合から、組合の個人情報管理規程の点検についてご依頼を受けることがありました。今回は、その点検作業をする中で気づいたことを書くことにします。

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 多数の組合員を擁する労働組合、特に企業内の過半数労働組合は、組合員の個人情報を、検索することができるように体系的に構成したデータベースの形で保有し(データをコンピューターで管理している場合は、ほぼこれに該当するはずです。)、それを組合活動の用に供していることと思います。
 そのような労働組合は、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)に定める「個人情報取扱事業者」に該当するため、同法に定められた事項を遵守しなければなりません。 続きを読む

マンション建物の欠陥に関する訴訟の原告

(神奈川総合法律事務所だより2022年8月発行第65号に掲載した記事です。)

 分譲販売されたマンションの建物に欠陥が見つかり、購入後の区分所有者全員で構成される管理組合が、欠陥の補修や損害賠償を求めて、分譲販売を行った企業や建設工事を行った企業と交渉することがあります。
 交渉では解決に至らず、損害賠償請求訴訟を起こす必要がある場合、誰を原告にすればよいでしょうか。
 躯体、共用廊下、階段、ベランダなどの共用部分や共有の附属施設(以下、合わせて「共用部分等」といいます。)に欠陥がある場合と、独立した個々の住戸の部分である専有部分に欠陥がある場合とでは、結論が異なります。 続きを読む

労働組合の合同

(神奈川総合法律事務所だより2022年1月発行第64号に掲載した記事です。)

 私は、弁護士として、いくつかの分野の仕事に携わっていますが、これまでの労働組合側の代理人活動の経験から、県内外の複数の労働組合(産業別連合体、企業グループ労連、企業別組合、職能別組合)と顧問契約を結んでいただき、労働組合の組織運営や労使問題に関するご相談を、日常的に受けています。
 最近は、企業のM&A(合併・買収)が盛んですので、それに伴う労働組合の合同について、組合からご相談を受けることもあります。昨年は、2件の大規模な組合合同手続で、仕事をさせていただきました。

 労働組合の合同とは、2つ以上の労働組合がその存続中に1つの労働組合に統合されることです。組合合同の方式には、新設合同と吸収合同の2種類があります。
 新設合同は、甲組合と乙組合が合同して丙組合となることです。吸収合同は、甲組合が乙組合を吸収することです。 続きを読む