労働組合の合同

(神奈川総合法律事務所だより2022年1月発行第64号に掲載した記事です。)

 私は、弁護士として、いくつかの分野の仕事に携わっていますが、これまでの労働組合側の代理人活動の経験から、県内外の複数の労働組合(産業別連合体、企業グループ労連、企業別組合、職能別組合)と顧問契約を結んでいただき、労働組合の組織運営や労使問題に関するご相談を、日常的に受けています。
 最近は、企業のM&A(合併・買収)が盛んですので、それに伴う労働組合の合同について、組合からご相談を受けることもあります。昨年は、2件の大規模な組合合同手続で、仕事をさせていただきました。

 労働組合の合同とは、2つ以上の労働組合がその存続中に1つの労働組合に統合されることです。組合合同の方式には、新設合同と吸収合同の2種類があります。
 新設合同は、甲組合と乙組合が合同して丙組合となることです。吸収合同は、甲組合が乙組合を吸収することです。 続きを読む

民法改正により債権の消滅時効が変わりました

(神奈川総合法律事務所だより2020年8月発行第61号に掲載した記事です。)

 使用者の義務違反によって労働災害(労災)が発生した場合、労災保険による補償とは別に、使用者には、被災労働者に対する損害賠償責任が発生します。この使用者の損害賠償責任には、債務不履行に基づく責任と不法行為に基づく責任の2種類があります。

 使用者が労働契約上、労働者の生命・身体・健康を保護すべき義務(安全配慮義務)を負っているのに、その義務を履行せず、それによって労災が発生した場合、債務不履行に基づく損害賠償責任が発生します(民法415条)。

 また、使用者の故意又は過失により労災が発生した場合、不法行為に基づく損害賠償責任が発生します(民法709条)。使用者が雇っている者の故意又は過失により労災が発生した場合にも、使用者には、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償責任が発生します(民法715条)。

 債務不履行に基づく損害賠償責任と不法行為に基づく損害賠償責任は、同時に発生することが多いです。

 さて、ここから時効の話をします。 続きを読む

欠陥建築被害に関する紛争と平成29年民法改正

 平成29年に民法の債権編を中心とする改正法が成立し、一部の規定を除き、2020年(令和2年)4月1日から施行されています。

 法務省のサイトでは、この改正について、次のように紹介されています。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

「民法のうち債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がされていませんでした。今回の改正は、民法のうち債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。」

 この改正により、売買契約と請負契約に関する規定も、かなり改正されました。 続きを読む