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杭工事データ偽装事件から考える欠陥建築問題

(神奈川総合法律事務所だより2016年1月発行第52号に掲載した記事に加筆しました。)

 昨年秋、横浜市都筑区の大規模マンションで、基礎杭の一部が地盤の支持層に届いておらず、しかも基礎杭の施工報告書にデータの転用・加筆があったという問題が、大きく報道されました。
 そして、この物件、この施工会社にとどまらず、他の物件や他社の工事でも、基礎杭の施工報告書でデータの流用や改ざんが横行していることが、次々と報道されました。
 基礎杭は、マンション建物の「構造耐力上主要な部分」であり、「建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの」です(建築基準法施行令1条3号)。居住者等の生命、身体、財産の安全を、建築物の最下部で支えていることになりますので、そのような部分の欠陥は究極の欠陥であるともいえます。
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