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民法改正により債権の消滅時効が変わりました

(神奈川総合法律事務所だより2020年8月発行第61号に掲載した記事です。)

 使用者の義務違反によって労働災害(労災)が発生した場合、労災保険による補償とは別に、使用者には、被災労働者に対する損害賠償責任が発生します。この使用者の損害賠償責任には、債務不履行に基づく責任と不法行為に基づく責任の2種類があります。

 使用者が労働契約上、労働者の生命・身体・健康を保護すべき義務(安全配慮義務)を負っているのに、その義務を履行せず、それによって労災が発生した場合、債務不履行に基づく損害賠償責任が発生します(民法415条)。

 また、使用者の故意又は過失により労災が発生した場合、不法行為に基づく損害賠償責任が発生します(民法709条)。使用者が雇っている者の故意又は過失により労災が発生した場合にも、使用者には、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償責任が発生します(民法715条)。

 債務不履行に基づく損害賠償責任と不法行為に基づく損害賠償責任は、同時に発生することが多いです。

 さて、ここから時効の話をします。 続きを読む